2021年国家資格化で需要急増——賃貸不動産経営管理士の市場価値
賃貸不動産経営管理士は、賃貸住宅の管理業務に関する知識・技能を証明する国家資格です。2021年に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(賃貸住宅管理業法)」が施行され、賃貸住宅管理業者は事務所ごとに業務管理者を選任する義務が生じました。賃貸不動産経営管理士がこの業務管理者として選任される最短ルートとなっており、不動産賃貸管理会社での重要度が急速に高まっています。
試験は年1回(11月)実施。合格率は例年30〜40%前後で推移しており、宅建(15〜17%)と比べると取り組みやすい難易度です。受験資格に制限はなく、不動産業未経験者でも挑戦できます。
賃貸市場は人口動態にかかわらず一定の需要が存在し、管理物件数は国内で約700万戸にのぼります。オーナー(大家)の高齢化や外国人入居者の増加など、管理業務の専門性が問われる場面が増えており、資格保有者のキャリア安定性は高いといえます。
賃貸管理士の年収:管理戸数とポジション別の実態
国土交通省の「賃貸住宅管理業務実態調査」、厚生労働省の賃金構造基本統計調査および職業情報提供サイト jobtag「不動産営業」のデータを参考にした年収水準は以下の通りです。
| 職種・ポジション | 年収目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 賃貸管理担当(未経験〜3年) | 300万〜400万円 | 資格手当で月1〜2万円が多い |
| 賃貸管理担当(3〜7年) | 380万〜500万円 | 業務管理者として選任で手当あり |
| 支店長・エリアマネージャー | 500万〜650万円 | 管理戸数・部下の数で変動 |
| 不動産会社オーナー兼任 | 500万〜1,000万円以上 | 経営者ルート |
| PM(プロパティマネジメント)専門 | 450万〜700万円 | 大手不動産会社・REITが高水準 |
※年収目安は上記統計の賃金データおよび求人市場の実勢を総合して算出しています。
賃貸管理士資格保有者は業務管理者として選任可能なため、会社側に選任義務がある現在、月1〜3万円の資格手当を設ける企業が増えています。特に管理戸数が200戸以上の中堅管理会社では、資格保有を昇格要件にしているケースも珍しくありません。
賃貸管理士が活きる4つの業態
賃貸管理会社(独立系・系列系)
物件オーナーから管理を委託された賃貸物件の入居者募集、賃料管理、修繕対応、退去精算を担当します。業務管理者として選任される職種であり、資格保有が採用・昇格の優遇要件になっています。大和リビング、日本管理センター、三好不動産など全国展開している管理専業会社の求人が多いです。
不動産仲介会社(賃貸部門)
賃貸物件の入居者募集から成約、入居後のトラブル対応まで一気通貫で担当するポジション。仲介手数料ベースの売上モデルで、賃貸管理の知識があると長期的な顧客関係構築に有利です。
マンション管理会社(賃貸棟)
分譲マンションと賃貸マンションを複合で管理する企業では、賃貸管理士とマンション管理士・管理業務主任者の双方を評価します。ダブルライセンスで幅広い物件に対応できる人材は即戦力扱いされます。
不動産投資会社・REITサポート
投資用不動産の収益性を高めるPM(プロパティマネジメント)業務では、空室率管理・賃料設定・リノベーション提案まで担当します。証券会社系・不動産会社系の資産運用子会社では年収水準が高めです。
賃貸管理士を武器にした4つの転職ストーリー
仲介営業 → 管理担当にシフト
賃貸仲介の営業経験を持ち、現場を知った上で管理部門へ異動または転職するルート。顧客(入居者・オーナー)への対応力がすでに備わっているため、管理会社から即戦力として評価されます。
ポイント: 「仲介で培ったオーナーとの関係を維持・深化させたい」という動機は管理会社に刺さります。賃貸管理士取得でその意思を証明できます。
事務職・一般職 → 賃貸管理担当
資格取得を機に不動産業界へ転職するケース。管理会社は営業職より事務処理・調整業務の比重が高いため、コミュニケーション能力や几帳面さが求められます。
ポイント: 試験合格率が宅建より高いため「取りやすい」という誤解を持たれがちですが、賃貸借契約・建物管理・税務の幅広い知識を問われます。独学3〜4ヶ月の準備が目安です。
賃貸管理 → 大手PM会社へキャリアアップ
中小管理会社でキャリアを積んだ後、REITや大手不動産会社のPM部門へ移るルート。管理戸数・実績・英語力が問われる場合もあり、年収が一気に上がるケースがあります。
ポイント: 宅建とのダブルライセンスで応募できる求人の幅が大きく広がります。
不動産オーナー → 自主管理から管理業参入
自身で複数物件を所有するオーナーが、管理業許可取得のために資格を取得するルート。2021年の法改正で200戸以上の管理には登録が義務化されたため、規模を拡大したいオーナー起業家の需要が増えています。
不動産・賃貸管理に強い転職エージェント
賃貸不動産経営管理士を活かした転職には、不動産専門のエージェント活用が効果的です。
- リクルートエージェント: 不動産・賃貸管理の求人が業界最多水準。未経験歓迎の案件も多く、まず登録しておきたい。
- ハタラクティブ: 若手・第二新卒向け不動産求人に強い。管理会社への初転職を手厚くサポート。
- doda: 不動産専門チャンネルを保有。管理職・エリアマネージャー案件の非公開求人が充実。
- 不動産転職.com(アーバンエージェンシー): 不動産業界専門エージェント。賃貸管理会社のコンサルタントが業界実態を熟知している。
賃貸管理士と組み合わせてキャリアが広がる資格
| 関連資格 | 相乗効果 |
|---|---|
| 宅地建物取引士 | 賃貸仲介×管理の両面をカバー。ほとんどの管理会社で優遇される |
| マンション管理士 | 分譲マンション管理との兼業が可能になり、対応できる物件種別が拡大 |
| 管理業務主任者 | マンション管理業法上の選任管理者になれる。分譲・賃貸の両立を目指す場合に有効 |
| 不動産コンサルティングマスター | 投資用不動産の提案力強化。高額物件オーナーへの提案で活躍 |
| 簿記2級 | 賃貸収支の分析・確定申告サポートに直結。PM業務での差別化要素になる |
